2017年3月27日

コラム 今後のパソコン 近い未来の予測

今、世界的に見て、パソコン業界は確実な縮小へと向かっている。

最も大きな原因としては、iPhoneの世界的なヒットと共に、スマートフォン全体の機能向上によるものが挙げられる。
例えば、「調べる」「楽しむ」「ショッピング」などはパソコンである必要性は無くなってしまった。
もちろん、高性能ゲームなどの「楽しむ」については、パソコンの方が上位である。
また、動画サイトを見る時間的割合は、今でも同様に携帯端末より上だ。
ただし、「いつでも」「好きな時」という点では、PCより携帯電話の方が有利な事は言うまでもない。
さらに、タブレットPCの台頭で、モバイルノートパソコンの価値が大きくはなくなってしまったことも挙げられるだろう。

次に、パソコンの機能向上への頭打ちや、ユーザー全体のPCにおける知識の向上も一つの要因であるといえる。
つい十年前までは、たかが1~2年でスピードや機能で目に見える技術向上が確認できた。
しかし今は、必要以上のハイスペックPCは多くのユーザーにはそれほど重要ではないとされてしまい、むしろ低価格競争を求められてしまっている。
学生においてもパソコンはそれほど重要ではなく、オフィスアプリを携帯にダウンロードしてしまえば、多くの場合なんとかなってしまうのだ。
逆を言えば、スマホやタブレットなどでも買い替えによる性能向上は実感できなくなり、もう同じような問題に直面している。


今後、パソコンは、「クリエイト」「ビジネス」「ゲーム」がより強く要求されると予測する。

特に、個人の利用においては「クリエイト」が最も重要だといえる。
もちろん、パソコンに思い出の写真や動画を保管する事も立派な「クリエイト」に入る。
動画や写真の編集、イラスト制作、ホームページ、作曲、専門知識があればゲームやアプリ制作でもいい。
そういった幅広い趣味や制作用途を目的に、パソコンは特化していくのではないかと予想している。

また、「ビジネス」などの一定時間以上従事しなくてはいけない長時間の利用においては、スマホやタブレットのようなタッチパネルよりも、ある程度の大きさの画面でキーボードやマウスを使う方が腕や目が疲れにいことは、多くの場合実感できるであろう。
そして、当然記憶容量も大きく、タブレットなどより歴史があるパソコンの方が、長期的な視点では安定して丈夫で「ビジネス」向きだといえる。

ただ、現在のゲーム専用ハードの充実さから言えば、PCゲームはまだ時間が掛かるだろう。
PCゲームは大きなポテンシャルを秘めているが、初心者ユーザーに訴えかける分かりやすさや規格などでも、まだ足りないところがある。
しかし、ゲームにおいて、携帯電話やパソコンの方が最後に生き残る可能性が高く、最終的にそれらが主流になるかもしれない。



そういった現状から、パソコンは以上のものが、より適正価格になるよう強く求められるのではないかと予想している。
また、世界的なパソコン出荷台数の低下により、市場が不用と判断したものは淘汰され、すぐにではないが、その後業界全体の値上げが起こるだろう。
そして、パソコンの高級ブランド化やインテリア、ファッション化するかもしれない。
これはあくまで多くの先人達の別業種が辿った道であり、すでに米アップル社は、MacBookやiPhoneで高級路線に舵を切りはじめている。
しかし、まだまだ市場は「安い」「簡単で楽」「早い」を求めていてる。

現在、減少したモデルや人気から推測すると、「オールインワンノートPC」「専門家向きデスクトップPC」が特にニーズが高いと分析する。
携帯電話でもパワーポイントが編集できる時代の今は、「趣味でクリエイトがしたい」「仕事場に近い環境でパソコンを使いたい」「大きい画面でインターネットがしたい」、そういった要望が主である。
まだ、携帯は携帯、テレビはテレビ、パソコンはパソコンとしてのニーズがあるため、全てが1台のコンピュータに集約される時代はまだ早い。

もちろん、パソコンがまた、日本でしか通用しないガラパゴス化を望むものは少ないだろう。
日本メーカーならではの品質管理で、世界に通用するものづくりを応援したい。
もし、単純に、海外製部品の組み合わせと考えるなら、自動車も同じだ。
今の厳しい状況を耐え抜き、続ければ、必ず良い結果が出ると信じている。


今後、十年(数年)は、パソコンの爆発的技術革命は期待できない。
絵空事かもしれないが、未来では量子コンピュータなどが普及し、一家に一台スーパーコンピュータの時代が来て、電子マネーで税金管理や公共料金の支払いを自動で請け負い、安全で最適な情報を選んでくれるかもしれない。一人のために曲や映画を作ってくれて、自分のためだけの人工会話AIも出来るかもしれない。

しかし今は、現状に見合った必要なものを選ぶべきであり、メーカーはユーザーのニーズをしっかり見極めることが、今後のパソコン業界復権の課題である。